ステファノス・チチパス の強さ徹底解説【フェデラー二世】

選手解説

NextGenの一人。
2021年全仏オープンの決勝戦では王者ジョコビッチを相手に2セットアップ、あと1セットというところまで追い詰めた実力者。そのプレースタイルからフェデラー二世の呼び声も高く、今後に非常に期待されている選手です。

また、親日家であると有名であったり、190㎝を超える長身×イケメンの圧倒的なビジュアルから女性人気もテニス界トップクラスと、テニス以外の話題でも事欠かないチチパスを今回は徹底解説していきます。

この記事でわかること

  • チチパスの強さをショット毎に徹底解説
  • なぜフェデラー2世と言われているか
  • 得意とする展開
  • ラケットなどチチパスの使用ギア

選手評価の記事では共通して以下の10段階評価を用いて解説します。

★×1 :ATPツアー内で最下位レベル
★×2 :ATPツアー内で下位レベル
★×3 :かなりのウィークポイント:相手は積極的に狙う
★×4 :ややウィークポイント:相手は余裕があれば狙う
★×5 :世界で標準的なレベル
★×6 :世界で100位レベル
★×7 :世界で30位レベル
★×8 :世界で10位以内レベル
★×9 :世界でトップレベル
★×10:世界No.1レベル

能力評価

フォアハンドストローク:★★★★★★★★★★
バックハンドストローク:★★★★★★☆☆☆☆
サーブ        :★★★★★★★★☆☆
リターン       :★★★★★★★★☆☆
ネットプレー     :★★★★★★☆☆☆☆
タッチ        :★★★★★★★★☆☆
パワー        :★★★★★★★★★★
スピード       :★★★★★★★★★☆
戦略         :★★★★★★★★☆☆
キャッチコピー    :フェデラーをクレーコートで育てたら。

てにおじ
てにおじ

一言で表すと「ロジャーフェデラーがもしクレーコート育ちだったら」です。フェデラーの能力をパワーとストロークの威力にスライドさせ、代わりに多彩なショットのスキルを少し減らしたようなプレーが特徴です。

地力が高いのでどのサーフェスでも活躍しますが、基本的にはクレーコーターです。

フォアハンドストローク

非常に威力の高いフォアハンドです。

もともとフォアハンドを武器にしている選手ではありましたが、どちらかというとパワーのあるショットで優位に立つというよりも、フォアハンドサイドのライジングでの展開力を武器に試合を優位に進めるようなフォアハンドでした。

しかし、2020年後半くらいから明らかにフォアハンドの威力が上がり、回り込みフォアハンドからエースになったり、相手にミスを強いたりと、フォアハンドの一撃でポイントをもぎ取ることができる場面が増えました(コロナで試合がなかった期間を機に明らかにフォアハンドの剛性が増しました)

攻撃時の配球コースはストレート方向が得意で、試合の中でも多用しています。特に回り込みフォアハンドのストレートは精度・パワーともに非常に高く、わかっていてもエースになってしまうほどの攻撃力を持っています。

ヘビースピンの逆クロスなども効果的に使えており、できないことがない自由自在のフォアハンドです。

バックハンドストローク

ROTTERDAM, NETHERLANDS – FEBRUARY 13: Stefanos Tsitsipas of Greece returns a backhand against Aljaz Bedene of Slovenia during Day 6 of the ABN AMRO World Tennis Tournament at Rotterdam Ahoy on February 13, 2020 in Rotterdam, Netherlands. (Photo by Dean Mouhtaropoulos/Getty Images)

バックハンドはフォアハンドに比べると展開の幅やボールの威力では劣り、クロスコートへのヘビースピンやストレート方向へのペースを変えるスライスなどを主に使用する典型的なクレーコータ―の片手バックハンドという印象です。あからさまなウィークポイントとまではいかないものの、試合の中で相手から起点にされがちなスキルになっています。

片手バックハンドの使い手にはガスケのような多彩なテクニックであったり、ワウリンカのようなパワーショットであったり、ティームのような一発逆転ショットであったりとユニークな個性が結構つきものなのですが、いい意味でも悪い意味でもチチパスのバックハンドには特色らしい特色がありません

もう一皮むけてGSを連破するような選手になるためにはおそらくこのバックハンドの強化が不可欠になってくるとおじさんは考えています。

サーブ

NEW YORK, NY – AUGUST 29: Stefanos Tsitsipas of Greece serves the ball during his men’s singles second round match against Daniil Medvedev of Russia on Day Three of the 2018 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on August 29, 2018 in the Flushing neighborhood of the Queens borough of New York City. (Photo by Alex Pantling/Getty Images)

190㎝を超える身長がありますが、高速サーブでエースを量産するというよりもあくまでサーブとその次のフォアハンドまでをセットとして考える配球が非常に目立ちます。

ツアー屈指のフォアハンドをサーブの次のショットとして自分の形で打つために、相手のバックサイド方向へスピン系のサーブを使って突くことが多く、こういった部分は非常にクレーコーターらしさを感じます。

このサーブは一般のプレイヤーでも非常に参考になる配球で、チチパスのサーブにはサーブの次のショットをいかにいい場所でフォアハンドで打つかということを非常によく考えられた配球になっています。

一方でスピン系のサーブをそれほど効果的に使えない早めのサーフェスではこの展開が使いづらく、それに合わせるようにチチパスも戦績が振るいません。今後は球威や回転で相手を押し込むというよりも、スピードのあるサーブや相手をコートの外に追い出すサーブを磨いていき、速いサーフェスでもよりチチパスの活躍が見れるようになると嬉しいですね。

リターン

リターン自体に何か特徴的なスキルがあるというよりも、強力なストロークを活かすために確率を重視するタイプのリターナーです。

やはりリターンもクレーコーターらしく、遅めのサーフェスでがっつり下がってムーンボールを使ってリターンするというスタイルを最も得意としています。
逆に速いサーフェスでポジションを上げた状態でのリターンは現状それほど得意としておらず、リターンの技術からもやはり遅いコートが得意な選手であることを感じさせます。

片手バックハンド×クレーコーターという最もポジションを上げたリターンを得意としないスタイルなので難しいとは思いますが、非常に器用な選手なのでこれからこのリターン技術にも注目していきたいです。

ネットプレー

ストロークに軸を置いた選手の最低限のボレー力は持ち合わせているという感じです。

これだけストロークがしっかりしている選手なので強引にボレーを使ったり、意表を突くネットプレーなどは見せませんが、やはりコートの中に入って処理したボールの後はしっかりとネットを取り、硬くポイントに繋げるという形がチチパスのネットプレーのほぼすべてです。

細かいコントロールを要求する、または難しいコースを狙うボレーはそれほど使わず、オーソドックスな配球に配球し、それでポイントが取れなければ仕方がないというスタイルを見ると、それほどボレーに得意意識を持っていたり、ボレーでポイントを取っていこうということを考えている選手ではないということが読み取れます。

タッチ

クレーコート育ちということもあり、ドロップショットやドロップショットの処理などは器用にこなしています。

ただ、タッチショットを巧みに使うというよりも、持ち前のパワーとスピードでがっぷり四つで戦うスタイルなのでそれほど柔らかいタッチを目にする場面は多くはない選手です。

パワー

非常にパワーのある選手です。

体格的には背は高いものの、ゴリゴリのマッチョ体系というわけではないので少し意外に思われるかもしれませんが、テレビ越しで見ていても鉛球のような重さを感じさせるフォアハンドにはスキルももちろん必要ですが、パワーが不可欠です。

ボールの威力が落ちやすいクレーコートでもあれだけエースを量産できるフォアハンドを打てるパワーは並大抵のフィジカルでは放つことができません。

また、そのパワーから体幹が非常に強いので球際にとても強いです。ようやく触れるボールでも体幹をしっかりキープして返球しているので通常の選手がぎりぎり追いついたボールよりも圧倒的に威力のあるショットを放つことができています。

スピード

大きな身体の選手ですが、2つの意味で非常に高いスピードも持ち合わせています。

  • コートカバー力の高さ
  • 回り込みフォアハンド時のフットワークの良さ

コートカバー力の高さ

単純に足が速く、手足も長いのでコートカバー力の非常に目立つ、スピード感がとてもある選手です。

年々攻撃力を増しているチチパスですが、グランドスラムで頭角を現しだした2019年くらいには攻撃力よりもコートカバー力が目立っている選手でした。

圧巻だったのは2019年全豪オープン4回戦の前年同大会優勝者であるフェデラーとの1戦です。この試合ではフェデラー得意の速い展開に振り回されながらも非常に高いコートカバー能力で食らいつき続けて守り切り、最終的にフェデラーが打つ手をすべて塞いで勝利をもぎ取りました。

この試合以降様々なスキルがレベルアップし、大きな大会でも戦績を残すことが少しずつ増えてきて、2021年にはグランドスラムの優勝候補にも名が上がるほどになりましたが、躍進の陰にはいつもこのコートカバー力があります。

回り込みフォアハンド時のフットワークの良さ

フォアハンドの回り込み時のフットワークが非常にスムーズです。

どれだけ上体のパワーがあっても、良いポジションに入れなければ効果的な回り込みフォアハンドは打てません。チチパスの回り込み時のフットワークはフェデラーやナダルに匹敵する理想的でケチのつけようのない素晴らしいフットワークです。

フットワークがよいので大きく回り込んでいても体勢が崩れないですし、そもそも回り込める範囲が普通の選手に比べてとても広いです。

戦略

じっくりストローク戦を展開し、甘くなったボールを得意のフォアハンドで仕留めに行く形がベースとなっています。多彩な攻撃手段をいくつも持つというよりも一つ一つの戦術をしっかりとこなすチチパスを支える戦術がどのようなものか解説していきます。

強力な回り込みフォアハンド

チチパスの攻撃のベースは回り込みフォアハンドです。特徴的なこととして、エースを狙いに行くときはダウンザラインの比率が他選手に比べて多いことが挙げられます。

回り込みフォアハンドをダウンザラインへ展開することにはメリットとデメリットの双方があります。

メリット

  • ベースラインまでの距離が最も短く、物理的に最もエースになりやすい

デメリット

  • 打った先が相手のフォアハンドにあたるため、甘くなるとすぐさま形勢逆転される
  • ネットが高くベースラインまでの距離が短いのでミスのリスクが高い

文字に起こすとわかりますが、一般的に回り込みフォアハンドのダウンザラインは逆クロスよりもハイリスクなショットです。ただし、チチパスはフォアハンドの威力、コースともに非常に優れているため、デメリットを最小限にしつつメリットを最大化することができています。

コートの中に入るフォアハンドのダウンザライン

チチパスは回り込みフォアハンドが目立つようになるまではもともとデュースコートでのフォアハンドが展開の中心になっていた選手でした。

デュースサイドでのフォアハンドダウンザラインを放つパターンとしては大きく分けて以下の二つです。

  • デュースコートでのクロスラリーで優位になったタイミング
  • バックハンドのスライス等のストレート方向への展開に対して返球が甘くなったタイミング

このフォアハンドダウンザラインを使うパターンとボールへの入り方がフェデラーそっくりで、とてもスムーズです。是非機会があればこのパターンのチチパスとフェデラーを重ねてご覧になってみて下さい。(フェデラーのフォアハンドダウンザラインに関する詳細はフェデラーの解説記事で触れていますのでよろしければご覧になってください)

安定感抜群のストローク

戦術というとどうしても特定の攻撃手段や特定のショットに目を向けがちなのですが、私はチチパスの最大の強みは 安定して質の高いショットを打ち続けられることだと思っています。

クレー育ちということもあり、最近でこそ攻撃力も非常に高くなったものの、高いディフェンス能力が強さのベースにあるタイプの選手なので、仮にオフェンスがうまく機能しなかった場合でも、ペースを落としてラリー戦で様子を伺うような戦い方をいつでもとることができます

このオフェンシブな場面でなくても自分の形でプレーできるというのは戦績を安定させる上で非常に大事なポイント(いざとなればディフェンシブにもなれるので、無理のある攻撃をする必要がない)で、取りこぼしの許されない上位選手に必須なスキルです。

使用ギア

ラケット:ウィルソン ブレード 18×20

ガット:ルキシロン 4G

ウェア、シューズ:アディダス

ウィルソンには有名なプロストックラインナップがあり、その中でおそらくチチパスが使用しているのは最も有名なH22というラケットと言われています。(Bladeの見た目をしているラケットはほぼこれ)

  • フォアハンドを軸に戦う次世代No.1候補
  • デュースサイドでの展開がフェデラーそっくり
  • 球足の遅いコートで特に活躍が期待される

コメント

  1. カオチャン より:

    はじめまして、今シーズンはチチパス推しですね😍
    全仏オープンの準決勝に勝ちインタビューで泣いてしまった姿にもらい泣き。でもここで泣いている場合じゃなかった。だってまだ優勝していないよチチパスと思っていたら、やはりジョコビッチに負けた。悔しかった。パパがコーチでここまで素晴らしい選手に育て上げたが、メンタル面や、スペシャリストのコーチに任せてみたら良いのにと日々感じます。あなたの分析素晴らしい❗チチパスオリンピック金メダル取って欲しいなー。これからもブログ楽しみ😍😍よろしくお願いいたします😃

  2. コメントありがとうございます!
    更新頻度はそんなに高くないのですが、テニス大好きっぷりを前面に押し出して記事を書いていきます!是非また遊びに来てください!

  3. […] 比較的エースがとりやすいといわれるフラット気味の逆クロスはほとんど試合の中では使用しません。この辺りはチチパス(詳細はチチパス徹底解説の記事)とも似ている部分があるかもしれませんね。 […]

  4. […] フェデラー二世の呼び声も高く、アップテンポな試合展開もこなしますが、一方で安定した堅いストロークの持ち主でもあります。回り込みフォアハンドが非常に強力で、ベースラインの後ろからでも一撃でエースを取れる力を持っています。(詳しくはこちらのチチパス徹底解説記事) […]

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