マッテオ・ベレッティーニの強さ 徹底解説【イケメン×ビッグサーブ&フォア】

選手解説

2019年頃から突如として頭角を現し始めたイタリアの剛腕イケメンテニスプレイヤー、マッテオ・ベレッティーニ。2m近い長身から繰り出されるビッグサーブとグリグリのビッグフォアハンドはツアー随一。2021年のウィンブルドン決勝進出なども記憶に新しいのではないでしょうか。今回は今まさに全盛期を迎えるこの選手を使用ラケットなどにも触れながら徹底解説していきます。

この記事でわかること

  • ベレッティーニの戦力詳細分析
  • ベレッティーニがよく使う戦術
  • ベレッティーニの使用ギア

10段階評価の考え方

選手評価の記事では共通して以下の10段階評価を用いて解説していきます。

★×1 :ATPツアー内で最下位レベル
★×2 :ATPツアー内で下位レベル
★×3 :かなりのウィークポイント:相手は積極的に狙う
★×4 :ややウィークポイント:相手は余裕があれば狙う
★×5 :世界で標準的なレベル
★×6 :世界で100位レベル
★×7 :世界で30位レベル
★×8 :世界で10位以内レベル
★×9 :世界でトップレベル
★×10:世界No.1レベル

能力評価

サーブとフォアハンドからのパワープレーを軸とするベレッティーニ。多彩な戦術はないものの、シンプルなテニスはシンプルがゆえに崩しづらい面があり、このシンプルなテニスが彼の戦績を安定させる要因になっています。

フォアハンドストローク:★★★★★★★★★★
バックハンドストローク:★★★★★★★☆☆☆
サーブ        :★★★★★★★★★★
リターン       :★★★★★☆☆☆☆☆
ネットプレー     :★★★★★☆☆☆☆☆
タッチ        :★★★★★☆☆☆☆☆
パワー        :★★★★★★★★★★
スピード       :★★★★★★☆☆☆☆
戦略         :★★★★★★★☆☆☆
キャッチコピー    :重戦車

てにおじ
てにおじ

まさに「重戦車」という言葉がぴったり。ごツイ見た目通りのプレースタイルです。小細工はほとんど使わずにパワープレーで相手をなぎ倒していく様子や闘志を全面に出すファイタースタイルは見ていて非常に気持ちの良いものがあります。

フォアハンドストローク

厚い当たりとヘビースピンを両立した非常に理想的なフォアハンドです。

デュースサイドからは図のようなスピンのきいたクロス、スピンのきいたストレート、フラットで叩くカウンター気味のストレートの3種類を試合の中では使っています。

ラリーの中ではあまりフラットで叩くようなボールはそれほど使用せず、基本的にほぼすべてのボールに強いトップスピンがかかっています。

スピンボールが主体となる傾向はアドコートからの回り込みフォアハンドでも同様で、主な球種として相手のバックハンドの高い打点を突いたり、コートの外に追い出すための逆クロス。エースを取りに行くフォアハンドのストレートがあります。

比較的エースがとりやすいといわれるフラット気味の逆クロスはほとんど試合の中では使用しません。この辺りはチチパス(詳細はチチパス徹底解説の記事)とも似ている部分があるかもしれませんね。

バックハンドストローク

両手バックハンドの技術だけでいえば☆5くらいになってしまうベレッティーニの中では弱点にあたる部分ですが、彼はその弱点をある程度補える高いスライス技術を持っています

まず両手バックハンドはそれほどサイドライン付近を狙わず、相手にギリギリ回り込まれないくらいのセンターから相手のアドサイド付近への配球が目立ちます。これはベレッティーニの最大の強みである回り込みフォアハンドを活かすための配球で、相手のセンター付近からの返球は角度が付きづらい特性をフォアハンドで突こうという意図がとてもよくわかります。

スライスでも両手バックハンドと基本的なコンセプトは変わらず、フォアハンドを活かすための展開ですが、両手バックハンドにはなかったストレートへの展開が追加されます。

ストレートの展開もスライスを使う選手の展開としてはスライスでストレートへ流したのち、相手からの返球をフォアで強打して展開していくかなりポピュラーなものです。ベレッティーニのスライスは低くキレもいいため、うまくこの展開が相手に刺さってきます。

サーブ

柔のフェデラー、剛のベレッティーニ。私が思うに2021年現役の選手の中ではフェデラーと並んで最高クラスのサーバーです。

サービスゲームの獲得率は9割近く、1stサービスポイント獲得率は8割越え、また2ndサービスポイント獲得率も6割近くとどこをとってもスキのないサービスゲームです。

強烈なサーブを持つ選手でありながらストロークの技術も非常に高いので、2ndサービスでも高いポイント獲得率を維持できているのも重要なポイントです。

サーブの配球はデュースサイドではボディかセンター。アドコートではボディかワイドを使う典型的なパワー系サーブです。サービスエースは主にデュースコートからのセンターと、アドコートからのワイドに放つ高速フラットサーブで取っています。

デュースサイドでのワイドへのスライスサーブやアドコートでのセンターへのスライスはそれほど使用していないのでスライスサーブよりもフラットサーブ、スピンサーブに自信を持ったサーブといえるでしょう。

リターン

盤石のサービスゲームに対してリターンゲームは弱点としています。リターンゲーム獲得率は約2割程度で、ATP全体で見ても50位以下です。そのためタイブレークが非常に多くなっています。

ジョコビッチやナダルがキャリアを通じてリターンゲーム獲得率30~35%です。はっきり言ってこれは異常な数字なのでここまでとはいかないまでももう一皮むけるためには25%以上ほしいところです。

25%あれば4回に1回、つまり1セットで1度ブレークできるのでタイブレークになる確率がぐっと減り、戦績も安定してくると思います。

ネットプレー

まだ発展途上の技術です。フォアハンドで相手を追い込んでもなかなかネットを取らず、上手く相手にしのがれてしまう場面もまだよくあります
これだけ強烈なサーブとフォアハンドを持っているので、うまくボレーを使う展開を増やせればサービスキープが楽にできてゲーム取得率も上がってくると思います。あれだけ切れの良いスライスを打てているのでボールタッチ自体は悪くないはずですので今後に期待したいショットです。

タッチ

悪くはないのですが、そもそもタッチを要する場面にほとんど出くわさないので、タッチの良さを感じることがあまりありません。

バックハンドスライスを使ってコートを広く使うスキルは持ち合わせているので、ドロップショットやアングルなどの小手先のスキルも身に着けてもっともっと本来のパワーショットを活かせる展開を増やしていくのびしろがあるように見えます

パワー

満点です。その腕っぷしの強さから、基本的にラリーの中で打ち負ける場面はどんな選手相手でもありません。ツアーの中でも屈指のパワーのある重いボールを操ることができています。

これだけ体にパワーがあるにもかかわらず、Headのエクストリームという比較的高反発なラケットを使っていることも合わさってとんでもない次元でのボールスピードとスピン量を両立できています

苦しい体勢でもパワーを活かして一発逆転のカウンターを放つこともでき、相手にとってはポイントを取り切るまで何があるかわからないということで非常にストレスを与えることができています。

パワーのある選手らしく、比較的遅めのコートでの活躍が目立ちます。今後のキャリアでもおそらくこの傾向は続くとみられます。

スピード

ベレッティーニから特にスピードの要素を感じることは多くはありません。

典型的なパワープレイヤーで、一度体制を崩されるとなかなかそこからラリーの主導権を取り返すことが難しいタイプです。

かといって足が遅いと感じることもそれほどないので、パワープレイヤーとして十分なスピードは備えているともいえます。クレーでのスライドフットワークなどもしっかりと身につけられており、大きな欠点には見えません。

戦略

ここまでのセクションで触れてきたように、基本的にパワーを全面に押し出したプレイが目立ちます。パワープレイヤーにも世界で上位を取るためにはそのパワーを活かすための戦略が不可欠です。ここではベレッティーニがとっている代表的なパワーを活かすための戦略を2つ紹介します。

テンポを上げすぎない

ソダーリングの解説記事でも取り上げましたが、パワーを活かすためにはなるべくテンポが遅い方がよいです。テンポが上がれば上がるほどラケットを振る余裕がなくなるのでパワーを活かしづらくなるためです。

ベレッティーニもソダーリングと同様にラリーの基本ポジションはベースライン2m程度後方にしており、現代テニスにおいては若干後ろ目にポジションを取る選手です。

ベースとなるラリーをこのポジションで行い、パワーを活かして展開を優位に進めたのち、コートに入って一撃でウィナーを取りに行くという形を徹底することで相手からのカウンターを最小限にし、自分の得意なポジションでのラリー戦がなされるように展開しています。

スライスによる緩急

ベレッティーニはあまり緩急をつけて戦うことを得意とはしていませんが、緩をうまく使うことができている唯一のショットがバックハンドのスライスです。

スピードのある高く跳ねるフォアハンドに対して、回転量が多く弾道の低いゆっくりとしたスライスはまさに対極にあるショットでベレッティーニのフォアハンドを警戒してポジションを下げる選手に対しては特に有効となっています。ここでは代表的な2つのスライスを使ったコンビネーションをご紹介します。

スライス→ 回り込みフォアハンドのコンビネーション

最もよく使うパターンがこの展開です。スライスをクロスコートへ配球(黄色)、相手からのセンター付近への返球(黒)に対して回り込みストレート(サイドに切れるスピン)で展開。

スライスに対する返球にフォアハンドで回り込むというパターンはもはやATPツアーにおけるの常識ですが、ベレッティーニのフォアハンドは強烈なスピンがかかっているため、特にコート中央くらいからのフォアハンドストレートがスピンでコート外に逃げていき他の選手とはまた違う(ナダルの回り込みフォアストレートに近い)非常に有効なショットになっています。

フォアへスライス→相手のバックへスピン→フォア対相手のバックの展開

こちらの展開もフォアハンドを得意とする選手ならではの展開です。

相手のフォアサイドへスライスを使って流し、やや体制の崩れた返球をフォアハンドで相手のバックサイドへ展開。この形を一度作ればよほどのことがない限り自分の回り込みフォアハンド対相手のバックハンドの形を作ることができます

回り込まれたフォアハンドは体にためがあり、逆クロス・ストレートを読みづらいこと、ボールに威力があることからそう簡単にバックハンドから展開することはできません。

この形から得意のフォアハンドダウンザラインで展開していってもいいし、ボールの威力で抑え込みつつ相手が無理するのを待つでもよしという万能の形です。

この形は一般プレイヤーも非常に参考にしやすいものだと思いますので、今度是非ベレッティーニの試合を見てみてください。

使用ギア

ラケット:Head Graphene 360 + Extreme MP 2020

ガット:シグナムプロ ファイヤーストーム 1.25mm

ウェア:Lotto

シューズ:Lotto

男性のプロテニスプレイヤーとしては割と珍しい中厚系のラケットを使用しています。(他にトップ選手で思いつくところだとナダル・フォニーニあたり)

現代テニスは高速化が著しく、パワーよりもラケットの安定感、コントロール性を求めて男子プロテニスではボックス形状のラケットを使う選手が多いですが、ベレッティーニは自分の強みをさらに活かすようなラケットチョイスをしていますね。

  • 強力なサーブとフォアハンドを軸に戦う重戦車
  • 男子プロには珍しい中厚系ラケット使用
  • ゴリゴリのパワープレイにスライスでエッセンスを加える

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